マススパーで強く当ててしまう問題

パラエストラ天満代表の赤尾です。

本日はキックボクシングのスパーリングに関する内容です。
どこのジムでも良くある事でジムの代表の方で悩まれている方も多いかも知れませんがマススパーなのに強く当てる人がいるということに関してです。


今回この記事を書く理由はジムの会員の方からスパーリング中に自分はマスでやっているつもりなのに強く当てられて困っていると言う相談を受けたからです。

また私自身も以前からジム内で再三注意して来て最近ではかなり改善されましたが以前にはその様な状況が多く散見され頭を悩ませていた時期があり、この事について触れなければならないと考えていました。


まず最初にスパーリングには普通に当てる形式で行うスパーリングと軽いタッチ又は寸止めで行うマススパーリングというものがあります

元々はスパーリング=しっかり当てるものであったと思いますが、スパーリングの中でも特に強く行うフルスパー(ガチスパー)、軽く当てる程度で行うライトスパーがあると仮定します。


強度順に言うと以下の通りです。


フルスパー>ライトスパー>マススパー


しっかり当てるフルスパーリングと言うのは心理的、肉体的に強度が高く敷居が高くなるので昨今のレッスン形式で行なっている格闘技ジムではほとんどがマススパーリング、あるいはライトスパーリングで行われているのではないかと思います。


しかしこれは格闘技ジムで本当によくある話で多くのインストラクターを悩ませている問題でもあると思いますが、マススパーやライトスパーで行なっているにも関わらず強くなってしまう人と言うのが必ず存在しています。

最初に言っておきたいのはフルスパーリング自体を否定しているわけではありません。
選手志望であれば時にはそのような練習をするべきだと思います。


しかしそこには

1.実力が釣り合っている。
2.監督者がいる。
3.お互いが合意している。

などの条件が必要であると思います。

問題はマススパーリングと言う前提で行なっているにも関わらず、片方、又は双方が強く打ち込むケースが散見されると言う事です。


今までの指導経験上、強く当てる人の傾向としては以下のようなものがあります。


①初心者や経験の浅い人
意外かも知れませんが初心者の方の方がスパーリングに恐怖心があるため力が入りやすい強く打ち込んでしまう傾向があります。
これは仕方の無いことだと思います。

このような方への導入としてパラエストラ天満ではビギナークラスを設けておりこの時間ではマススパーの際、顔では無くグローブを狙うように指導しています。

このように指導した結果、落ち着いたマススパーを皆さんがしておられるので一定の効果はあると思われます。


②選手志望の人
選手を目指している様な本気で強くなりたいと言う人は負けん気の強い人も多いためやはり力が入り熱くなりやすい人が多いと思います。

私自身もこの様なタイプであったと思いますので気持ちは分かりますが、自己満足な練習をしていたなと恥ずかしい記憶です。

若い選手志望の皆さんには自身の失敗を繰り返して欲しくないなと思います。


③本当に力加減が分からない人
悪気は全く無いが当ててしまうという人もいてます。
この問題の1番悩ましい所はほとんどがこのケースあると言う事です。

このような方への指導は悩ましい所がありますが根気強く説明していくしかないと思っています。


④サイコパス
私はあまり経験した事がありませんが中には相手を痛めつける事に喜びを見出す様な人もいてるようです。
このような人は格闘技ジムにいてはならない存在です。




そしてこの問題に対する僕なりの解決策を書いていきます。


①積極的に練習相手とコミュニケーションを取る努力をする
私はこれがこの問題の一番の解決策であると思っています。
極論、普段からコミュニケーションが取れていて仲の良い者同士であればスパーリング中にたまたま強く当たったとしてもそこまで悪い雰囲気にはならないはずです。

又、意図せず強く当ててしまったと気付いた時は必ず謝ったり意思表示をする様にしましょう。
強く当ててしまったのに謝らなければ相手もそっちがその気ならとなってしまいお互いヒートアップしてしまいます。

そうならないためにも普段から練習相手と積極的にコミュニケーションを取って欲しいと思います。
初対面同士の場合は信頼関係も何も無いので特にお互い気を付けねばなりません。


②相手の顔色や様子を見る
これもコミュニケーションの話と繋がる部分がありますがスパーリング中は相手の顔色や様子を注意深く見る必要があります。

相手が嫌がっていたり必死になりすぎていると気付いたらトーンダウンする余裕を持って欲しいものです。
これは試合に出る人であれば相手が効いたかどうかを確認したり相手の心理を読む訓練にもなります。

逆にこう言う意識が無い人は試合で相手が効いて無いのにラッシュを仕掛けたりして無駄に疲れたりしてしまいます。
結局は相手を見れていないからです。

これは恋愛、仕事全てに当てはまる事だと思います。


③練習はあくまで練習という意識を持つ
スパーリング中にヒートアップする人は競争心が強すぎる傾向がある様に思われます。

もちろん負けず嫌いは格闘技には必要なものですがそれが行き過ぎると良い練習が出来ません。

意外かも知れませんが強くなる人は練習では意外とあっさりやられたりするものです。
それは心の何処かで練習は練習という事を理解出来ているのかも知れません。

練習はあくまで練習であり技術を習得するためのもので試合とは全く別物です。
本当に強さを試したい方は試合に出てください。




思いつくところではこの様なところです。


個人的にはお互いに信頼関係があるなら完全にマスよりも軽く当てる形式で行うライトスパー形式でやるのが上達するには1番良いと思います。
しかしその軽く当てるの匙加減が人それぞれ違うのが難しいところです。

良い練習をするためにはギリギリのラインを攻めていく必要があると思いますが、そのためにはお互い強くなってきてもこの人は大丈夫だと思える様な信頼関係が大事です。


また、たまにスパーリングでヒートアップし過ぎて終わった後に挨拶をしなかったり舌打ちをする者もいてますがこれは言語道断です。
格闘技の練習は相手に対してリスペクトが無ければただの喧嘩になってしまいます。

この様な行為は場の空気を悪くしてしまいジムを運営する側としては1番して欲しくない事です。
現にこの様なことが理由で今までに強制退会者を出したこともあります。


個人的にはジムは楽しく、激しくやれる様な環境が理想です。
格闘技には他のスポーツでは得られないような刺激や終わった後の満足感があります。
特にスパーリングは緊張感や駆け引きがあり人気の高い練習です。

しかし意図せず強打されたり、嫌な思いをしてジムを退会される様な方が多くなるとジム側としては死活問題にもなります。

私はジムに来てくれた全ての人に今日練習に来て楽しかったなと満足して帰って欲しいと思っています。

ガンガン激しいスパーリングをしたい選手志望の人と、ライトスパーもしくはマススパーをしたい一般の練習生を分けて練習した方が良いと言う考えもありますが、私は皆が1つの一緒に練習して行くことは可能であると思っています。

その為には私のこうした考えをご理解頂く事が不可欠です。


会員さんの中には「このジムがあって良かった」「ここは最高のジムです」と言ってくださる方もいてます。
そう言った方の言葉も励みにしてこれからも皆が満足して皆で高め合える良いジムにして行きたいと考えております。

一人でも多くの人に格闘技に出会って良かったと思ってもらえるため、またジムをよりよい場所にしていくためにもこの記事を読んでくれた方には頭にとどめておいてもらえればと思います。


それではまた!